フランス人形/soft_machine
 
く人間達を
教室を窓越しに伺う
ホームレスを
打ち続ける雨を
彼女は見ている
どこか遠くの惑星を
彼女は見ている

記憶のはじまりは
くちびるの色を塗られた時の喜びか
瞳をはめこまれた瞬間の
言い様のないかなしみか
まばたきというものを知らぬまま
にぎやかな街の乾いた音に包まれているうちに
いつしか自分はほんとうに
フランス人形じゃないかと思う
けれどひとりで組み変えせない
くつ下でかくされた足の裏には
メードインジャパンと刻まれ
おとこの子だけに限らず
偽ることだって出来た仕打ちにも何度か遭った
黒髪を染めて自分のように似せる大人も知った
青い目の人の
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