のざらし/
宇宿一成
どれほどの
命を生きたか
はかる物差しはなかった
命をかけたものの
値打ちについても
同じだった
机には
首の取れた
犬の貯金箱が転がっていた
こどもに死なれた父親は
悲しみよりも遠いところで
仏像の笑みを浮かべていた
外では風が冷たかった
のざらしの心から
温もりは奪われて
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