春の小曲/まどろむ海月
 




咲く花の魂を抱きしめても
萌ゆる幸せは月光のように
透きとおってしまう



玻璃の盃に浮かべた幻想は
思い出のように甘くただようが
あなたの生命のときめきは
この唇にもどっては来ない



 小川のきらめきに
 流したはずなのに


 蝶のように訪れる悲しみよ
 わたしはまだ
 生きているのです




あなたの好きな季節が
囁かれた気がするが
太陽の孤独は
まだ風の便りには
届いていません





雲よ
いま私の眼が
魅せられて
いるのは
風に揺れる
一輪の花
です


















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