電脳朧月/北大路京介
 
覗き込んだら 電脳朧月
深夜のコーヒー もう何杯目だろう

君のすべてを零と壱に分解して
新しく未来に何を残せていけるのだろう

  知りたくない情報も鼓膜に突き刺さる


最近の音楽に疎くなってる
好きな野球チームも
知らない顔が増えてきてる

給料あがらぬが物価はあがる
家賃もあがる
部屋には寝に帰るだけでも



雨が止んだら 妄想青い雪
真紅のバービー 口笛ピューピュピュー

夢のすべてを紙の上にトレースして
過ぎ去った毎日に何を残せてこられたのだろう

 抱きしめたい衝動も若くして枯れてきてる


忘れたいことほど思い出してしまう
カラダを壊す
医療費もかさんでしまう

知らない間に焦ってしまう
歳だけはとる
なにも望んでなくても

 ワンクリックで恋にはじけて
 醜く歪んだ空気がまとわりついて
 走る地下鉄で闇のパズルを解くことが
 息継ぎの時間だ


覗き込んだら 電脳朧月
何に照らされて 何を隠してるの

額の奥には 電脳朧月
何を照らしてて 何を隠してくれるの

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