手紙/木屋 亞万
おはようの前に
貴女はもう起きていて
いただきますの前までに
ご飯を完成させている
いってきますの前には
弁当を手渡してくれる
小生はその後の貴女を知りません
ただいまの後は
夕飯を作る後ろ姿で
ごちそうさまの後には
食器を洗う後ろ姿で
おやすみの後に
見るのは服を畳む背中
日常の中で挨拶すら
ろくにしない小生は
視線を送る事すらないのです
日常茶飯事だからと
当然のように受け取る
日々の恩恵の影に
絶え間無い努力があるのを
気付いていなかったのです
思えば夜に電気が使えるのも
様々な食べ物を口にできるのも
それを支える人のおかげで
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