売春禁止法について/海野小十郎
 
売春禁止法について
 もうすぐ喜寿にも手の届くわたしなのだが、青春時代の性の悩みにときおり思いをめぐらす。お殿様でも家来でも、貴婦人でも蓮っ葉乙女でも、せいの悩みは同じである、ある高貴な職についていた婦人の申されるには、わたしは売春婦にでもなっていた方が良かった、自分のいまの職業は窮屈といわれる。
 若いときのわたしの悩みもまったくこの悩みに似ていた。成年になるのが18歳に下げられたのはいいが今の若者が18歳で責任をになえるかどうかは疑わしいのではないか。体や頭脳は成長の早い現代であるが、悟りや良識は責任を担えるほど発達しているとはっきり言える人が誰かいるだろうか。
 凶悪犯や変質者などの増
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