T字路/佐々木妖精
人んちの猫を
眺めるのはいいな
溜息で吹き飛ぶ薄給だというのに
ある日袋がずっしり重くて
慌ただしくぶちまけて
猫がキョトンと転がったら
がっかりしてもいいな
孤独という状態を
さみしいと
説明することができないので
モサカワコーデの愛され猫
エアギターよろしく
やつの腹 心ゆくまで
日陰なき裸体かき鳴らしても
見通しの立っていた死を
赤ちゃんとだけ友達になりたい
赤ちゃんとだけ遊びたい
赤ちゃんを抱きしめたい
赤ちゃんとだけ話をしたい
赤ちゃんとだけ酒を酌み交わしたい
遊ばれてもいいから
赤ちゃんと付き合いたい
人の赤ちゃんとは禁欲的に
猫の赤ちゃんとはプラトニックに
腹違いのきみと仲良くなって
みんな忘れ去ればいい
きみは逆算すれば晩年だ
逆三角形動物だ
早い鼓動と高熱は短命な小動物の証
きみは四つん這いで枯れ葉を揺らす
情も理念もない四足動物
きっときみには魂がない
きみにそんな概念はない
きみは人間じゃない
猫のように人間じゃない
俺は
なんだった
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