ポケットサイズの世界 (2)/桜 葉一
夜になると一段増えるという噂の学校の階段へ仲間内で調べに行ったが、昼間に数えたときと同じ段数で「おもしろくないな」と思いながら帰ったが、来たときよりも人数が1人増えていることには誰も気づいていなかった。
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腹話術師の見事な演技に観客達は拍手を送っていたが、彼らにはどちらが人間でどちらが人形なのか分かっていなかった。
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煙突掃除の少年たちが掃除を終え煙突から出てくると、1人の顔はまったく汚れていなく、1人の顔は真っ黒であったため、その汚れた顔の少年を見た顔の汚れていない少年は、自分も顔が汚れているのだろうと思って顔を洗いに行ったが、残った顔の汚
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