騙されるひと/恋月 ぴの
 
ぼっかり空いたこころの隙間に
あなたの優しさが忍び込む

そのひとに騙されているのではと
友達は忠告してくれた
仮にそうであったとしても
構わないと思ってしまうわたしがいる

ひとの弱さのようなものを
曝け出してくれる
あなたに
わたしと同じにおいを感じ取り

「明日には必ず…」

そんな聞き飽きたことばに
だまって頷くのは
約束は果たされると一縷の望みを託すから

ひとに優しい人は
えてして自分にも優しい

あと少しもがけば手が届くだろうに
こらえきれず力を抜いて
この世の涯へと流れ流され

覚悟が女のさだめなら
はだけた乳房に顔をうずめる男をあやし

どこまでも

疼く子宮は涙に濡れる




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