無題19/ねろ
 


あたためて 少しだけ

おかしいでしょ こんなのは

あたしはあたししか愛していないって

誰が言うの

あたためてよ 冷たい毛布

壊れる少し前に望んだ空の色が

煤けていたのなら

この手が抱きしめる資格のあるものなど

何も無いと言われたんだ

あたためてよ 雲

あたしの心 流動して流れるものを

諦めたくは無いんだ

触って猫の爪 引っかかれたなら 殺して構わない

全て身から出た錆だと言っている

知っているからこそ

誰かに形成された事など無くて

あたしはこの身体が造った自我を保っている

一屑の星の子

あたためてよ散らばる空の冷気のその抜け殻

それは宇宙の繭だ

這い出でる者は己の羽根の色を嘆いて飛んだりしない





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