First Love/円谷一
ョンが独り高くて浮いている君と、本当の友達のいない僕の関係を同級生達に知られたくなかった。何故なら君が陰口を叩かれて傷付くと思ったから。だから本当は君と一緒に帰るのは辛かった。けど、君は無言で首を振り、わざわざ遠回りの堤防を通って毎日僕と帰っていてくれていたのだ。僕も一瞬間があってから笑顔でチリンチリン、と鈴を鳴らす真似をした。化学の実験で失敗したような髪型は、君が付き合っていた元彼の髪型を真似たものだった。いつも君に驚かされているお返しに、ほんの出来心で、吃驚させようとしたのだ。僕の髪型を見た時、君は一瞬息の詰まるような素の表情を初めて見せたが、すぐに大笑いして、「似合ってないよ」と美しい一重の
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