まぼろしの草原 /服部 剛
 
幾十年も働くということが 
途方もなく長い道のりに思え
僕はひとまず荷物を降ろし 
ありきたりないつもの道を外れ 
目の前に広がる 
今日という日の草原を 
無心で走ろうと思った 

草原を駆け抜けて 
息を切らし、振り返る。 

思いのほか遠くなった 
背後の道に 
昨日の僕の幻は 
二度と戻らぬ昔のように 
小さい姿になっていた 






 
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