夏野雨論 〜撃ち抜くのは、つよいことばなんかじゃないよ〜 /umineko
 
瞳の持ち主で、どうやらお芝居なんかもしているらしいのだが、それらはおいおい。

  君の郵便受けの中にそっと
  桜を一枚いれておくよ
  長い手紙になりそうだから
  小さな箱には
  とてもしまっておけないから

             「置手紙」


詩を書くということ。
ことばひとつ。配置する、アイテムも接続詞も、すべてその作者のものとして。

問われる。
たとえば銀という色の質量。郵便受けという風景の確かさ。
二重にも三重にも深く、私たちは、内部に眠る声を聞く。くすぐられ、扉を開ける。


おそらく。
詩は、何かを励起させる触媒みたいなものなのだ
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