創書日和「鳥」/虹村 凌
 
風切羽を無くしたジョナサンは
くちばしに咥えたチェリーを誰にも届けられないまま
モノクロームになって千切れていく
きりもみしながら

その隙に僕らは天国のドアを叩こう
ハト時計みたいに出たり入ったり
次のハトが飛び出しても
何度でも何時までも
絵の具みたいに光りながら
ナメクジみたいになるまで

雨ざらしのスクーター
綿埃の中のドレスシューズ
眺めたまま燃え尽きるシガレット
滑り 満ちる香り
声が する

百匹の猛禽類が潜む事を知らないから
奴ら 後ろ指指して笑いやがる
今すぐにでもビルの屋上から飛び立つのさ
風切羽を無くしたまま

そう
スピードよ
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