適当な世界/ヨルノテガム
 



骸骨の運転する車を隣町へ走らせて
無人の街へ降り立ち、ひとり遊びに疲れると
電車に乗って帰って来、立ち食いソバなんかで済ます
その隣町もそのまた隣町も区別がつかない程
同じ様子で無人の賑やかさを保っている
また電車で帰ってくる
回送車に一人 わたしと思われる影が吊り革を握って立つ

無人立ち食いソバは完全セルフでも汁は温かに
蛇口から出てきた



骸骨の運転する車は
骸骨の運転する車と
骸骨の運転しそうなスピード同志で
すれ違う

対骨車の奴は金歯が一、二本光った



今日は野草を探しに車を山の方へ向かわせた
ネギが死ぬほど採れた
日が暮れて骸骨の運転手は何も言わずに
ソバ屋のあたりで車を止めた
ネギを車に置いたまま降り、
ソバ屋の蛇口をひねると
温かい汁がまた流れた 手ですくうと 
細かな刻みネギがもうすでに混ぜられている

さっきからずっと胃に穴があいていたが
そのまた隣りの蛇口からは
胃にやさしい薬が混ぜられている













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