挿絵/たもつ
 

コピー機の隣に
幼なじみが立っていた
靴を片方なくしてしまったと
挿絵のように
静かに泣いていた

右手を左手首のあたりに添えるしぐさは
昔と同じ感じだった
野で摘んできた白い花を
複写して見せた
それから今度都合の良いときに
たくさんの靴を買いに行こうと約束して別れた

あの日の白い花が
ヒメウズだと数年後に知った
もう誰かのために
泣かなくてよかった


戻る   Point(12)