ご挨拶/千月 話子
ぎ取って
食べきれない頂き物などを風呂敷に丁寧に包み
まぁまぁ どうぞどうぞ などと挨拶がてら
様子見をしていたんだよ
彼らは 家で漬けたたくあんを
特に気に入ってくれたもんだから
せっせと漬けては いそいそ出かけた
(娘の腹を触りたいんだ
子のある女は観音様
誰にも内緒の願掛けに)
・・・・・・・・・・・・・
突然 こんな夜中に一体誰だい
とんとと 板戸を打ち鳴らすのは
それは見知らぬ小さな おとこ子だった
そいつは妖怪でもなさそうな可愛らしい顔で
「腹が減ったー」とわたしの着物の袖を引っ張った
もしも 幽霊だったとしても構わない・・・
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