小さな針/由志キョウスケ
 
世界がひっくり返る時とは
まるで
小さな針の痛みのようです

ぼくはその朝
君をなくしてしまいました

日めくりカレンダーを
破るみたいに
あっけなく
君は失われてしまいました

気がつくと
腕にいつまでも残る
その小さな痛みに
ぼくはその夜ひとり
泣きました

君を思って
小さな針の痛みに
泣きました

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