手をつないで/小原あき
 
雲になった少年は
涙を流して
誰に何を
知っていてもらいたいのだろう


詩人になりたかったのは昨日のこと
今は風に流されるだけ
それだけのことに
満たされている
嬉し泣きしかできない自分に
ただ立ち止まっていることの意味を
気ままに流れながら
問い続けている




花になった少女は
いつまでも少年を見つめている
また自分の上に
雨を降らせて欲しくて


人間だった頃と
何も変わらない関係に
焦りを感じながらも
彼の姿を見るたびに
そして
彼を吸収するたびに
大きくなる自分に
色あせながらも
しっかり根を張り続けているのだろうか

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