円卓会議/六九郎
 
黙祷やめ

鷲をかたどった壁のスピーカー
総統のくぐもった声が響く
はるかアンデスから届く寂しいその声

俺は目を開けて壁に並ぶ写真を見上げる
新しく、一番右に掛けられた男の顔
ともに苦しく厳しい訓練をくぐり抜けた仲間達
2段ベッドの上下で語り合った将来の夢

円卓の端でプロデューサーは今週の視聴率を発表する
監督とシナリオライターはひっそりと無言の失望を交わす
責任の追及に怯えながら腕を組み瞑目する大幹部
資料のレジュメを配る上司には腰の低い司会役の班長

冴えない数字の蔭で
今週も死んでいった多くの無名戦士達
首領と組織のために
自ら進んで命を投げ出した男
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