メトロポリスに、独りきり/智鶴
騒がしい夜の端で
貴女は僕を静かに殺した
何かを祈るようなしぐさで
何度も何度も夢を閉じて
僕は貴女を愛していた
それが真実かどうかも
捉えられないまま
それなら、と
体温を想い出すだけでも
記憶が時計の端で狂いだす前に
罪を恐れて
此処で泣いていた夜を
幻のように忘れていく
また目を閉じて
またあの奇跡のような夢を見て
貴女の声が遠ざかっていく
例えば全てが幻なら
何故目覚めさせたの?
笑っていた、幻
僕が消えれば、笑ってくれるの?
僕が死んだら、愛してくれるの?
何も知りたくなかった夜
そんな言葉は、要らなかったのに
消える影と
揺れる幻想
メトロポリスに、独りきり
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