虚偽往来/
松本 卓也
耳の隙間を縫って
りぃんと響く音
とても遠くにあるようで
とても近くにあるようで
嘆く声と笑い声
誰もが耳を傾けるのは
偽りの眩しさが差し込む
重さの無い物語
誇張と顕示が彩った
十人十色の遠吠え達が
語る言葉はふわふわと
空を越えて有耶無耶に
素肌に刺さる針とか
心に刻む傷跡とか
隠さざるを得ないほど
弱弱しい生き物が居て
彼らは大概に詩人を名乗る
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