『雨と目』/しめじ
 
間の目の玉だった。

 S子がこれでもないあれでもないと目玉を拾い集めているの傍をすり抜けて私は無我夢中で雨の中へと逃げだした。傘がなく、雨に打たれていると心にない涙が流れていた。辺りは見知らぬ横町のようだった。雨が強くなり目の前が靄がかったようになってきた。気が付くと涙と一緒に目の玉も道ばたに流れて消えてしまった。心細くてまた泣いた。それと同時にS子のことが初めて不憫に思われ心の中から涙が溢れた。雨は止まない。私の目を探してくれる人はいない。

 やがて柔らかい手が私の手に触れた。
戻る   Point(2)