/渡邉建志
試供品をおいていくというやり方に非常に腹を立てる
*
夜の東京。オープンカー、Tの幼友達を乗せて。後部座席、2人。どうやら俺はTに恋してい
ることになっているようだ。今、心はすっとしているか、とTの幼友達は聞く。イルミネーショ
ン、イルミネーション、イルミネーション、デパート、デパート、ラブホテル。まあまあだ、と
言う。Tのことをかまうなと言われるのだと思う。そしたら、「あなたのことが好き」と言う。
ふーん、と言う。「ああ、スルーか」と言う。イルミネーションがまぶしい。その子の横顔が見
えない。なぜ、と聞く。僕の書いた、おばあちゃんの詩が好きだと言う。それを見て、好
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