【短歌祭参加作品】かげろふの、むこう/望月 ゆき
 
遠ざかる夏の約束今さらに水たまりに咲く蓮の鳴き声




失ったものなどひとつもないような ちいさな津波のあとのリセット




くちづけで透明なピリオドを打つ始まらないままの第一話




足早に過ぎていく過去を追いかける 地図のない空 不時着の夜




消音の夢のあなたの臨終で唇読めば「たましい」と呼ぶ




在りし日のかくれんぼうの恋人に見つけてくれよと鳴らす霧笛の




満開の「さようなら」舞う三月の風に裏返る春の掌






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