動物奇想天外/六九郎
海から浜に上がり、上の岩場を仰ぎ見る。げふ。
小魚で膨らんだおれの胃。
こみ上げる魚くさいげっぷ。
さてと、帰んないとな。
仲間達が続々と海から上がり、列をなして崖を目指す。
ぽたぽたとヒゲから海水を滴らせながらゆっくりと歩き始める。
俺の横を後から上がった奴らが追い越していく。
右足を引きずる俺のことを振り向きながら。
いて。いててて。まじいて。
ほんとついてね、つーか、見んな見んな。見ないほうがいーって。
うはっ。
右足の付け根のところ、ぱっくりと口を開いた肉がだらりと垂れ下がり赤黒い血の筋がたらたら。
けっこーひでーなこりゃ。
今朝別れたばかりの嫁の顔と
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