十二月の階段/月見里司
 
階段は夜よりも昼のほうが暗かった、上下左
右に伸びた立体駐車場が、がりがりと音を立
て始めている、埃のかたちをした日差しは鉄
柵で刻まれて、誰もが忍者かシマウマのよう
なシルエットになっていた、足音をひそめる
ようにして、ばつの悪そうな兄妹とすれ違う、

すこし急ぎ足で電柱の間隔を数えている、海
の方角に雲が出ているときは、太陽がしばし
ばそちらに寄りかかるようにして沈んだ、様
様なカンバンが山積みになり、東にも西にも
駅がある、頭上にある階段を上れば近道、最
寄のコンビニエンスストアまでは電柱十二本、

記憶にある階段ではいつも誰かが踊っていた
から、大きくなってか
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