思い出せない(いつのまにか死んでしまうものたち)/ホロウ・シカエルボク
いビートを刻みだす
丸い、丸い夕日
酸を引っ被ってしまった後の眼球みたいに
精神の一隅を
跡形も無く塗りつぶす
おお、赤い
と
俺は言う
それがリアリズムだと青臭い時代には思っていた
すべて
首がぐらついた雌犬
すべて
時折の辛辣な殺意
すべて
同じ交差点の一瞬
すべて
土の下の長い死
死体
死体
死体
死体
小さな頃に拾い上げた鼠の…
鼠の頭蓋骨の不自然な白さ
白すぎて白じゃないみたいだった
白すぎて
白じゃないみたいに
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