思い出せない(いつのまにか死んでしまうものたち)/ホロウ・シカエルボク
すべて
いなくなった誰かの写真だった
すべて
風に舞う木の葉だった
すべて
破られた約束ばかりの伝言板だった
すべて
自殺未遂の挙句植物化した
弱虫どもが眠るベッドだった
俺は馬鹿みたいに喉が渇いていて
尻から炙られている蛙のような切迫感で
何度も何度も
大量の水を飲み干した
ギターの弦をピックで擦るみたいな音を立てながら
喉の仏はその度に浮いたり沈んだりした
昔よく遊んだグラウンドで
打ち捨てられて錆びた自転車を見た
グラウンドからほんの少し北に下った
喫茶店のある小さな交差点で
昔飼っ
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