印刷風景 夏/霜天
 
飛行機の描く曲線が世界で
僕等はそれをなぞるように

思い出したようにつぶやく言葉と
ため息とを
窓から投げ捨てるようにしながら
空の曲線を
眺める
晴天

歓声の子供達
夏の日の自転車は
どれも急ぎ足で
ゆらゆらゆれる景色から
逃げるみたいに


抜け道を僕は知っている


ここは印刷みたいな日々
もがくばかりじゃ沈んでしまう
息切れを飲み込んで
錆付いた自転車の
ぎしぎし響く音を避け
公園の噴水と
入道雲の向こう側
額縁に収まった
積み木の街を通り抜け

飛行機の描く曲線を
なぞるように伸び上がり
印刷の風景を抜け出すと


そこは
高い空と 夏
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