賊/城之崎二手次郎
 
 幼い頃、内緒で乗り込んだ父の船が海賊船に襲われた。金品とともに連れ去られた少女は、海賊船の船長の娘として育てられた。十年後、たくましい海賊になった彼女は、死んだ船長の跡を継いだ。その夜、彼女の船は海軍の戦艦に攻撃を受けた。砲弾をかいくぐって軍艦に潜入した彼女は、艦長室に駆け込んだ。そこに父がいた。彼はあまりの変貌ぶりに娘だとは気づかず、あわてて銃を構えた。彼女は名乗ることなく父を切り捨てた。

あとがき。
二〇〇字物語第三十弾。
戻る   Point(1)