言語について/右肩良久
 
語そのものが変わってしまうことが多いのですから話にもなりません。
 我が国が近代化を果たす上で、これは大いなる障害であります。政府の始めた共通語の設定も、地域的、宗教的な対立によって暗礁に乗り上げています。我が国は一度として他国の支配を受けませんでしたが、植民地の遺産としてではなく、国際的グローバル化の波に乗り遅れないためにも、英語を公用語とすべき時が来たったと思うのであります。」
 僕の横に着座していた自称文化人類学者の男が、こっそり顔を寄せて、「上の連中がこんなことを平気で言っているようじゃ、この国は滅びるね。」と広東語で話しかけてきました。「大体、英語が幅をきかせるようになったら、この国
[次のページ]
戻る   Point(1)