手紙と星の話/かのこ
明日の午前二時
天体観測に持っていくもの
ライトとポータブルラジオ、ノートと鉛筆、絵本、
紅茶の入った水筒とお菓子は500円まで、それから、
君は去年にも着ていた、あったかそうなブルゾンを羽織って
ゆっくりと吐き出す息が、もうかすかに白く昇っていくね
背が伸びて、気が付いたら、こんなにも星が遠くなってたんだ、って
君はとても丁寧に、呟くように、言葉をひとつひとつ紡ぐ
僕も君と呼吸を重ねるように、丁寧に、言葉をひとつひとつたどって頷く
そうやって織り成す会話と沈黙の間に、流れ込んでくるのは薄い雲
シリウス、ミラ、プロキオン
君は星の名前や位置をよく知って
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