記念写真/楠木理沙
 
踏みしめる雪の音が胸を締め付ける
俯いた視線の後ろに足跡は続く 歩き続ける限り


逆光の中で作った笑顔にフラッシュが刺さる
思い出になるから笑うのだ


きっと私は忘れてしまうから 
真実の種をまく

私が忘れてしまったとき
それは真実になるのだから


収まらない鼓動の行き先を探しながら
白い息を吐き続ける
いつの間にか一人分になった足跡を ぼんやりと見つめる

慌てて入り込んだフレームの中で 真実が作られていく
きっと そういうことなのだ
たぶん そういうことなのだ
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