ハチクロを読んで泣いた理由/イダヅカマコト
 
たリハビリ中のはぐは、暗い部屋の中でもう何も描かなくていいといわれるのだった。その後すぐに分かるのだが、はぐが落ちたときは森田も描くことをやめるつもりだった。結論としてはぐが選んだことは漫画を見ればわかる。僕が拾ったのは、何のために自分は描いているのだろうという以外なかった。身体の障害を乗り越えて創作に生きようとするはぐと、描く必要のなくなった境遇をハンディのある恋人と一緒にいることによって固める森田の二人(これをある意味で生と死の間として羽海野チカは描写したに違いない)を見て僕はただ嫉妬してしまったのだ。自分の内的な変化だけではなく、外的な事情で描けなくなる事を強いられることと、その中できちんと行動するための答えを出す彼らの中に。
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