本棚と彼女/暗闇れもん
わたしの本棚、あなたにだけは見せられないわねと
彼女はそうふわりと笑ったんだ
わたしは今手足の自由を奪われている
視界を黒いつやつやした布が遮っている
わたしを不自由にしたのは彼女だ
布が視界を覆う前にちらりと見えた気がする
捕らえたのは彼女だ
どうしてかと疑問が浮かぶだけの頭も
永遠と錯覚しそうな暗闇の中では全てが無駄に終わった
永遠なのかもしれない
きつく縛られた手足が血液を失い
しびれが体を覆い始めた
一定の時間で緩められわたしはかろうじて
手足を失わずにすんでいる
耳を彼女の手が覆い
わたしに許されたのは肌で感じることだけ
全てがわたしのものだったわたし自身
気づいたらすべてが制御され
きまぐれな彼女の
あの本棚の一部なのだろう
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