腐った野苺/
大覚アキラ
ぼくは
腐った野苺を食べてしまったから
おかあさん
さよならです
片耳のちぎれた野良犬が
悲しい目でぼくを見つめているよ
灰色に濁った
その目の奥から覗き見る世界は
どんな風に見えるんだい
降り注ぐ
溶けるような緑の光を
身体中に浴びながら
ぼくは
喉笛を掻きむしりながら
水たまりの中を転げまわる
おかあさん
そういえば
いつか
光について
語り合ったことがありましたね
いったい
どんな話をしたのか
もう
すっかり忘れてしまったけれど
戻る
編
削
Point
(8)