山/
yo-yo
がりりと土壁を引っかいた
鎌の刃先の
あの放物線が消せない
おまえの山を見たい
祖父は
赤土をこねて
小さな山をつくった
夏へと秋へと
ゆらゆらと山をのぼる
黄蝶のような麦のシャッポ(帽子)
蔓に蔓を接いで
みどりの空をかさねてゆく誰か
あかい実が滴る
それが
祖父の山だった
がりりと果汁の痛み
赤くて消せない
親指と人さし指をコンパスにする
いっきに放物線の山を越えた
その日も
がりりと悲しかった
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