独りごと/白雨
 
 愛という字の、憂(うれい)に似るは、
 インクのにじんだせいかしら。

 それとも、酒のせいかしら。
 
 ビリイホリデの声聴いて、
 今日は少し、酔ったのかしら。
 
 今日も一日、終わったのかしら。
 
 時計(クロック)がわりの踏切が、
 十二度響いて、汽車がゆく。
 十二の貨物をひいてゆく。

 …ああ、これで、今日も終わりだ。

 愛という字の、憂(うれい)に似るは、
 インクのにじんだせいかしら。
 ―。
 おそまつさまの、キザかしら。
 
 ―。
 百度恋して、愛になるのかしら。
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