海馬/
山中 烏流
とすら
できないのだと知る
背後から
抱きしめるように、日陰
そこは
懐かしい色を持って
私を、爪先から
溶かしてしまうのだろう
な、
「繰り返す音階
瞬きは
一瞬の孤独のあとで
忘れてしまった
小さく、さざ波が
聞こえるのだと言って
私はまた
指先から、そっと
解けていくのだろう
溶けて、
いくのだろう
(ね。」
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