【短歌祭参加作品】春は不誠実にも始まって/たにがわR
 

春はそう、不誠実にも始まってリセットボタンに手が出る日曜

不意に鳴る着信音は君からで、春が終われば設定消さなきゃ

口笛をエプリルフールに吹いてみる、嘘としておくひとつの別れ

さようなら、を騙ってしまう春が来て、学者は別の解釈探す

君宛に「た、た、た、た、た、た、た、たましいを僕に下さい」とメールを送る

生きていくクボミにできた水たまり、春ならいつか晴れたりするよ

来る春が演出してる第一話(そして僕らは出会うのだった)

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