血が厭らしく哂っている/蝶澤
赤い血色した
私の厚い唇には
何が這うの
浮き世は夢だと
言い聞かせながらも
甘い毒に浸る私は
滑稽
あの子が叶わぬ恋だと言われれば
別のあの子が振り向いた
あの人に心を奪われれば
あの子に会わなくなってた
そんな人生
赤い毛糸を
編んでも編んでも
結ばれぬと気付いているのよ
迎えに行かなきゃ
捨て犬みたいなあの人
暗い部屋から飛び出さなきゃ
また1人の人を迷子にしてしまう前に
暗闇のお遊戯は
クラシックの渦で
聴いちゃいないけど
そうしてほしい
唇は血で彩り
戻る 編 削 Point(0)