ノート(夏囚)/木立 悟
 


格子の影が降りてきて
まわりつづけるものたちは
みな止まっているかのように見える



ひたひたと
姿のないものの足音が
午後の後を尾けている



空と地の端
雲の背の瞬
囚われの青から
泳ぎ去る陽炎



薄く 濃く
高圧線に沿う雲の指
細く 長く
影は陽の道に汗ばんでゆく




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