ポエジーの目覚めの頃/きりえしふみ
 
 「私のポエジー」という女は酷く睡眠好きだ
 夜毎強いアルコールに酩酊して
 朝の光じゃ呼び出し不能
 原稿用紙の幾重にも重ねられた白いシーツの下 そのまた奥の奥……下の方で
 美麗にして妖艶 鮮やかで若々しい その形からでは
 とてもじゃないが結び付きそうにない
 おおいびきを ほらまた、だ 高い鼻梁から吐き出している
 二昔前以上には残っていたであろう もくもくとした機関車のその煙のように
 それは長々と尾を引いて 引き起こしそうにない 軽やかな彼女の為の朝

 故に私は仕方なく いつもと変わらぬ正午 手荒な抱擁で
 夢路より彼女を引き立てて行くのだ 現へと
 全くその
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