ひとつ ひらめき/木立 悟
 



光の裏に氷があり
曇の奥へ
曇の奥へ
小さく水を点してゆく


陽の下の雨
雨の下の夜
夜の下の背
水みちる背


応えないものに囲まれ
ゆうるりと夜に気づいてゆく
打ち寄せる痛み 遠い笑み
遠い光 鈍色の輪


飲み干してはこぼし
渇いては悲しむ
あふれぬように 背から背へ
ちりちりと鳴る海をそそぐ


羽が羽にはえかけては止み
背をななめにめぐり
触れずに放つ熱のかたち
刃の虹を描いてゆく


低く静かに歩みは過ぎる
花と道 黒と蒼
隔たりを生み 隔たりを埋め
ひとつひとつ 夜を照らす
















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