真昼の星空/右肩良久
冬から春へ向けて流れる川に
舟が浮かんで
こちらへやってくる
柔らかな唇の端から
したたる幼児の涎が
他愛のない笑いで溢れ出して
野山を越え
滾々と
滾々と進み行く川よ
小舟の薄い底板の上にいて
君は熱心に花を撒いている
反射する陽光の
金色の光に包まれて
暗いシルエットになりながら
君は花を撒く
あれは
水鳥が騒ぐのではない
ちぎれた花びらが
音符となって風に舞うのだ
僕は君を迎えるために
川べりで静かに足を洗う
暖かな泥で包まれている足を
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