鉛の弾であれば事欠かない/瓜田タカヤ
鉛の弾であれば事欠かない
参観日の次の日に
母は死んだ
細胞状のカーディガンを毎日のまま
地肌に飾り夜の町へと降下するママ
時が経つに連れそんな雰囲気が
僕のマボロシの1パーツとして
ギーと鳴る骨の節々に塗り込まれていった
フットワークは消して軽くは無かったが
少なくとも
僕自身がマボロシに殉ずることがなかったので
まあまあ位のバランスは保てたのだろう
ハイエナはどんなに暑い日でも
集団で日陰に入ることを嫌う
って言ってたママ
嘘だったねえ
ピアノ演奏会の時
最前列で針を投げ入れる人がいて
連れて行かれた時ママ僕に
見ちゃダメって言ってた
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