平民一号は今日も嘆きを詩にする/松本 卓也
 

自分で守っていくことも
求めなくなって久しい

変わらない鬱屈だけを溜め込んで
意味の無い言葉を並べ立てるだけ
昔も今も変わっちゃいないのは
精々その程度に過ぎないわけで

いつか夜が明けるのを待っているだけじゃ
太陽の下を歩くことさえできなくなってしまう

卑屈な冗句と下らない小咄で
確立してきた関係の中で過ごすうち
慣れきった暮らしを抜け出す事も叶わぬまま
あれだけ嫌った群衆の中に溶け込みつつ

まぁ良いさ
捨てていった全てを見送りつつ
手にした僅かな金を握り締め
平民一号は今日も嘆きを詩にする

変わらないモノを抱きしめながら

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