裏木戸/
たもつ
ぼくの隣
静かなきみのポケットに
たぶん幼い
春が来ている
手を入れれば
指先に形のない手触り
必要な幸福は
それで足りる
春になったら
そう言い続けて
ぼくらは今
何をすべきだったのか
忘れる遊びに忙しい
離れたところ
裏木戸が風にあたって
古めかしい
ひとり言をしている
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