午後/ヨルノテガム
女が白い喉首をそらして
紅茶を空ける
カップは長くいつまでも口唇とふれている
瞼は閉じられて
なかなか開かれそうにない
テーブル、
無防備な左手の指の間をくぐり抜けて遊ぶ風が吹いた
女の鼻がお空を指して矢印になる
束ねられた髪の長さがわからない
女は紅茶を 喉の奥へ迷わせて
足のつま先へ辿り着くのを待ち焦がれている
耳の蝸牛へ旅の紅茶の報告が送られてく
口唇から僅かな汁が垂れて急いで戻るようだ
いつまでも
女の喉首は反り上がって
噛み付かれた点から 紅茶は甘く漏れ滴る
アゴ骨は硬い曲り角なのです、と
カップは皿の上へ 泣き帰る
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